猫の瞳孔が開きっぱなし…何かの異常?それとも興奮してるだけ?

猫の瞳孔が開きっぱなし…何かの異常?それとも興奮してるだけ? 猫について
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夜の部屋でふと猫の顔を見ると、瞳がまんまるに見開かれていた…。そんな光景に驚いた経験はないでしょうか?猫の瞳孔がいつもより大きく見えると、つい「具合が悪いのでは?」「何かに驚いているのかな?」と心配になるものです。
この記事では「猫の瞳孔が開きっぱなしになる理由」について、興奮や感情といった正常な反応から、病気のサインとして現れる異常まで、猫の視線の奥に隠れたサインを丁寧に読み解いていきます。

猫の瞳孔はなぜ変化する?

猫の瞳孔は、縦にスッと細くなるのが基本的な形です。しかし、光の強さや感情によって、その大きさは大きく変化します。瞳孔は目の中に入る光の量を調整する「カメラの絞り」のような役割を担っており、暗いところでは光をたくさん取り込むために開き、明るいところでは細くなってまぶしさを軽減します。

それだけではなく、猫は感情によっても瞳孔を変化させることがあります。つまり、瞳孔の開き具合は「環境的要因」と「心理的要因」の両方を反映しているのです。

興奮・好奇心・恐怖…瞳孔が開く“正常な理由”

猫の瞳孔が大きくなるのは、何も異常の兆候ばかりではありません。猫が感情的に高ぶったときにも、瞳孔は大きく開きます。

例えば、以下のようなシーンです。

・おもちゃを追いかけて興奮しているとき
・窓の外に鳥を見つけて狩猟本能が刺激されたとき
・見慣れない来客に緊張しているとき
・雷や掃除機の音にびっくりしているとき

これらの場面では、猫は交感神経が優位になっているため、体を戦闘(あるいは逃走)モードに切り替えます。その反応の一環として、より多くの情報を視覚的に取り入れるために瞳孔を拡大させるのです。これは人間の「目を見開く」動作と同じようなものだと考えてください。

このようなケースでは、しばらくすると瞳孔は自然に戻ります。短時間だけであれば、特に心配はいりません。

常に瞳孔が開いたまま…異常のサインかも?

一方で、部屋が明るいのにずっと瞳孔が開いたままだったり、緊張している様子もないのに黒目が大きく見える状態が続くときは、注意が必要です。

このような持続的な瞳孔拡大は、「何かしらの異常が背景にある可能性があるサイン」として捉えた方がよいでしょう。特に次のような場合は、異常の可能性が高まります。

・明るい場所でも黒目が大きいまま
・左右の瞳孔の大きさが異なる(不同瞳)
・目の動きに異常がある
・目をしょぼしょぼさせている
・頭を触られるのを嫌がる
・吐き気やふらつき、元気のなさが併発している

こうした場合、猫の視覚や脳に関わる問題が関与している可能性があるため、早めの受診が必要になります。

考えられる疾患①高血圧による眼の異常

中高齢の猫では、慢性的な高血圧によって網膜が損傷することがあります。網膜剥離や出血が起きると視力障害を引き起こし、その結果として瞳孔が光に反応しづらくなり、開いたままになることがあります。

猫の高血圧は腎臓病や甲状腺機能亢進症に伴って発症することが多く、初期にはほとんど無症状です。目の異常は、数少ない“見えるサイン”のひとつ。放置すると失明してしまう可能性もあるため、定期的な血圧チェックと目の観察はとても重要です。

考えられる疾患②神経障害や脳のトラブル

瞳孔の開閉を司るのは、自律神経や脳の一部です。したがって、脳や神経にトラブルがあると、瞳孔の反応にも異常が出ることがあります。

特に注意したいのが、「左右の瞳孔の大きさが異なる不同瞳」と「まばたきの異常や眼振(目の揺れ)」です。こうした症状は、脳腫瘍、頭部の外傷、神経麻痺などの深刻な疾患が潜んでいる可能性があります。

また、猫は痛みを顔に出しにくい動物ですが、脳圧が上昇したり、眼球の後ろに腫瘍などがあったりすると、瞳孔が常に開いたままになることがあります。

考えられる疾患③視神経の異常や失明

明るい場所でも瞳孔が閉じない場合、猫が周囲の明るさを感知できていない可能性も考えられます。つまり、視神経や網膜に何らかの障害があり、光を受け取っていない状態です。

視力低下の初期段階では、猫はぶつからないように動いたり、家具の配置を記憶して対応したりするため、飼い主が気づきにくいこともあります。瞳孔の開きっぱなしがきっかけで視覚障害が判明するケースもあります。

猫の瞳孔の変化を見るときのポイント

日常的に猫の目を観察する習慣を持つことは、早期の異常発見につながります。ただし、以下のような点を見極めながら観察しましょう。

・部屋の明るさと瞳孔の関係を見る
・行動(興奮・緊張・リラックス)との関連を観察する
・左右差があるかをチェックする
・継続時間や戻り方に注意する

一時的なものであれば問題ないことも多いですが、長時間続いたり、いつもと違う印象を受ける場合は、動画で記録して獣医師に見せるのも有効です。

受診のタイミングとは?迷ったら早めの相談を

「病院に行くほどではなさそうだけど、なんだか気になる…」
そんな時こそ、迷わず獣医師に相談することをおすすめします。猫は自分で異常を訴えることができないため、飼い主の「なんとなく変かも?」という違和感が、実は重要な手がかりであることも多いのです。

特に以下のような併発症状がある場合は、早急な診察が必要です。

・吐き気や食欲不振を伴う
・ふらつきやけいれんがある
・目の痛がる仕草をしている
・片目だけが異常に見える

猫の瞳孔の異常は、体の深部の問題を反映していることもあります。症状が軽いうちに相談することで、大きな病気の芽を摘むことができます。

まとめ:瞳のサインを読み取るのは“猫との対話”

猫の瞳孔の大きさには、その瞬間の感情から体調の変化まで、さまざまな情報が詰まっています。瞳孔が開いているからといって、すぐに病気を疑う必要はありませんが、環境や状況を見ながら慎重に観察する目を持つことが大切です。

そして何より、瞳の変化に気づける関係性が築けていることこそが、愛猫とあなたとの信頼の証。
猫の目が伝えてくれる“小さなSOS”を見逃さず、日々の健康を守る第一歩にしていきましょう。

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