犬猫のヒューマングレードとは?ドッグフード・キャットフードの選び方や注意点について

犬猫のヒューマングレードとは?ドッグフード・キャットフードの選び方や注意点について 犬猫共通
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ヒューマングレードとは?

最近、ドッグフードやキャットフードを選ぶ際に「ヒューマングレード」という言葉を目にする機会が増えました。

ヒューマングレードとは、その名の通り「人間が口にできる品質の原材料や製造基準で作られた」という意味で、言い換えれば、人間が食べても安全とされる材料・工程で作られたフードを指します。

「ヒューマングレード」と聞くと、安全で高品質なフードという印象を持つ方が多いかもしれませんが、すべてのヒューマングレード表記がその品質を保証しているとは限りません。しかし、だからといってヒューマングレードは良くないということでもありません。人間が食べられるレベルの素材や衛生的な製造環境を謳うフードには、信頼できるものも数多くあります。

大事なのは、ドッグフードやキャットフードの情報が開示されているかです。

本当に愛犬・愛猫に合った安全なフードを選ぶためには、飼い主自身が原材料の内容や製造工程、メーカーの姿勢をしっかり確認することが重要です。

ヒューマングレードの特徴

原材料の質が高い

ドッグフードやキャットフードにおけるヒューマングレードの特徴としてまず挙げられるのが、原材料の質の高さです。ヒューマングレードを謳っているドッグフードやキャットフードでは、肉や魚、野菜、穀物などの原材料が人間の食事に使われる品質と同等か、あるいはそれ以上であることが一般的です。

副産物や動物の臓器、廃棄物的な素材が使われていない点も安心材料のひとつです。

人間用の食品と同様の施設・基準で製造

加工や製造工程にも配慮されていることが多く、衛生面においても人間用の食品と同様の施設・基準で製造されているケースが見られます。温度管理や衛生管理が徹底されているため、雑菌の繁殖や酸化のリスクが抑えられている点も見逃せません。

合成酸化防止剤を使用していない

さらに、添加物や保存料にも厳しい基準を設けていることが多く、合成香料や着色料、BHA・BHTなどの合成酸化防止剤を使用していないドッグフードやキャットフードも増えています。これにより、アレルギーや皮膚トラブルを抱えやすい犬や猫にも安心して与えることができます。

ヒューマングレードの製品は総じて価格が高めである傾向がありますが、その理由は単なるブランド料ではなく、原材料の仕入れ価格や製造コストが高いためです。安価なペットフードでは省かれがちな手間と品質管理を徹底していることが価格に反映されています。

ヒューマングレードは明確な基準や定義がない

パッケージに記載するかはメーカーの独自基準

ヒューマングレードには前述したようなメリットがある反面、明確な定義や基準がありません。ドッグフードやキャットフードによって内容や品質が大きく異なり、パッケージに記載するかどうかはあくまでメーカーの独自の基準となります。

そのため、ドッグフードやキャットフードを購入する際には、「ヒューマングレード=安全で高品質」と決めつけずに、原材料や製造工程、安全性などをしっかりと考慮する必要があります。

海外では表記が推奨されていない

海外では「ヒューマングレード」という表記は推奨されていません。

アメリカではAAFCO(米国飼料検査官協会)やFDA(食品医薬品局)によってペットフードの表示に関するガイドラインが設けられていますが、「ヒューマングレード」という用語の使用には非常に厳しい条件が課せられています。すべての原材料が人間用の基準を満たし、製造施設も人間用食品と同等でなければならず、実際にその基準を完全に満たすのはごく一部のフードのみです。

基準を満たさずに表記した場合は誤解を招くとして問題視されることもあるため、多くの企業はあえてこの言葉の使用を避ける傾向にあります。消費者を誤解させないようにするため、「人間用の食品に使われる品質の原材料を使用」などの具体的な表現に置き換えられることが多いです。

パッケージにヒューマングレードという表記が増えた理由

「家族の一員」という意識の高まり

ドッグフードやキャットフードのパッケージに「ヒューマングレード」という言葉が使われるようになった背景には、ペットを“家族の一員”と考える意識の高まりがあります。

近年では「愛犬・愛猫にも安心で高品質な食事を与えたい」という飼い主が増え、食の安全性や透明性への関心が強まっています。とくに犬や猫の健康トラブルやフードリコールが報道されたことにより飼い主の不安が高まり、原材料や製造過程への注目が集まりました。

危険なフードと区別するため

また、ドッグフードやキャットフードの中には、人間が通常食べない部位の肉を利用したり、遺伝子組み換え作物が原材料に含まれている製品も存在します。とくに注意が必要なのは、病気や負傷により死亡した動物、あるいは死にかけていた動物の肉である「4Dミート」が原材料のフードです。

4Dミートは栄養価が低下し、また加工の過程で薬剤などが使用されることもあるため、長期的には犬の肝臓など内臓に負担をかける懸念もあります。また、遺伝子組み換え食品は免疫系への影響やがんのリスクといった点で不安視されています。

このような健康に影響があらわれる可能性があるドッグフードやキャットフードと区別するために、ヒューマングレードの高品質なフードが増えてきました。

安全性をアピールするためのブランド戦略

このような背景から、メーカーは安全性の高さをアピールするために「ヒューマングレード」という言葉を採用し始めました。ヒューマングレードという言葉は、消費者に「人間と同じレベルの安心感」を訴求できる強い訴求力を持つため、ブランド戦略としても有効なキーワードとして広がっていきました。

ヒューマングレードのフードの選び方

低温調理されたもの

ヒューマングレードのフードを選ぶ際は、「低温調理」されたものを選びましょう。

低温でじっくり加熱することで、ビタミンや酵素などの栄養素を壊さずに栄養価が高い状態を保つことができます。逆に高温処理されたフードは、製造効率は良いというメリットの反面、たんぱく質が変性しやすく、体内での吸収率が落ちることがあります。また、焦げや酸化が進むことで発がん性物質が生じるリスクもあります。低温調理のフードは消化にもやさしく、胃腸の弱い犬猫やシニア期のペットにも向いています。

原材料の質だけでなく、調理方法までこだわっている製品は、メーカーの姿勢にも信頼が持てる指標になります。

添加物が少ないもの

犬や猫の健康を考えるうえで、なるべく「添加物が少ない」フードを選ぶことは非常に重要です。

とくにヒューマングレードを謳う製品であれば、人工的な着色料や香料、保存料が使われていないかを確認するようにしましょう。犬や猫にとって必要のない添加物が体内に蓄積すると、アレルギーや皮膚炎、内臓への負担、さらには慢性疾患の原因になる可能性があります。

もちろんすべての添加物が悪いわけではありませんが、合成保存料のBHA・BHT、エトキシキンなどはできるだけ避けたい成分です。

自然由来の酸化防止剤(ローズマリー抽出物など)や、短期保存でも新鮮さを保てるパッケージ設計をしている製品は、品質への意識が高い証拠と言えるでしょう。

主原料が動物性のもの

ヒューマングレードのフードを選ぶ際は、主原料が「動物性たんぱく質」であるかどうかを確認することが重要です。とくに犬や猫にとって動物性たんぱく質は消化吸収率が高く、筋肉や皮膚、被毛の健康維持に欠かせない栄養源です。

原材料欄の最初にチキンやターキー、ビーフ、サーモンなどの明確な肉や魚が記載されているものを選びましょう。「肉類」「動物性副産物」など、曖昧な表現のものは避けたほうが無難です。また、ヒューマングレードと表記されていても、植物性たんぱく質を主に使っている製品も存在します。コストを抑えるために大豆や小麦などを多用している場合、アレルギーや消化不良の原因になることがあるため注意が必要です。素材の質と量、そのバランスを見極めましょう。

トレーサビリティが公開されているもの

フードの安全性と信頼性を見極めるうえで「トレーサビリティ(追跡可能性)」が確保されているかは非常に大きなポイントです。トレーサビリティとは、原材料がどこで生産され、どのようなルートで製造施設に届き、どの工程を経てフードとして完成したのかを明確に把握・記録できる仕組みのことです。

ヒューマングレードの名にふさわしい製品であれば、使用している肉や野菜の産地、農場、漁港名などが公開されていることもあります。これにより、飼い主は食品の安全性に対する信頼感を持つことができ、トラブル時にも迅速な原因特定が可能になります。また、製造工場の情報や衛生管理体制まで開示しているブランドは、品質に対する責任意識が高いと言えるでしょう。

パッケージや公式サイトの情報をぜひチェックしてください。

メーカーや企業が情報を開示しているか

ヒューマングレードのドッグフードやキャットフードを選ぶうえで、メーカーや企業がどれだけ情報を開示しているかも非常に重要な判断材料になります。

例えば

  • 原材料の産地
  • 製造工場の所在地
  • 製造方法
  • 品質管理体制

などについて詳細に説明しているブランドは、製品への自信と消費者への誠実さが感じられます。逆に、曖昧な表現ばかりで具体的な情報がほとんどない場合は、信頼性が低いと言えるでしょう。

パッケージや公式サイト、パンフレットなどでしっかりとした情報が得られるかをチェックしましょう。また、問い合わせへの対応姿勢や、第三者機関の認証を受けているかどうかも信頼度を測るポイントです。

情報開示はただの宣伝ではなく、飼い主とメーカーの間にある“信頼”の橋渡しです。安心して与えられるフードかどうかを見極めるためにも、情報公開の姿勢を重視すべきです。

まとめ

ヒューマングレードのドッグフードやキャットフードは、安全性や品質への意識が高い飼い主にとって魅力的な選択肢です。しかし、「ヒューマングレード=絶対に安全・高品質」とは限りません。表記だけに頼るのではなく、原材料や調理法、添加物、企業の情報開示姿勢などを総合的に見極めることが大切です。

愛犬・愛猫の体質やライフステージに合ったフードを選ぶことで、健康を守るだけでなく、日々の生活の質も大きく向上します。信頼できるフード選びが、ペットの健やかな未来につながります。

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