犬のうれしょんとは?特徴・原因・対処法を解説。粗相との違いについても

犬のうれしょんとは?特徴・原因・対処法を解説。粗相との違いについても 犬について
この記事は約4分で読めます。

犬のうれしょんとは?その特徴と見分け方

犬の「うれしょん」とは、嬉しさや興奮によって一時的に尿を漏らしてしまう行動のことです。特に飼い主の帰宅時や来客、褒められた時などに見られ、排尿自体に悪意やトイレトレーニングの失敗は関係ありません。無意識的に行われるため、叱っても犬には理解されず、逆に不安を強めてしまう場合があります。

一般的に、うれしょんは若い犬や、感情のコントロールが未成熟な犬に多く見られます。排尿の量は少量で、その場に座ったまま、または伏せた状態で漏らすことが特徴です。トイレの場所とは無関係に起こる点も、通常の排泄行動との大きな違いです。

うれしょんをする理由とは?犬の感情と行動の関係

犬がうれしょんをする背景には、主に感情と身体の制御の問題が関係しています。特に以下のような心理状態が見られます。

まず、感情の高ぶりです。飼い主の帰宅や急な来客により、犬が一気に興奮状態に陥ると、膀胱のコントロールが一時的に失われます。これは神経系の未発達な子犬によく見られる現象で、成長とともに減少する傾向があります。

次に、服従心の現れとしての排尿があります。とくに子犬や気の弱い犬、保護犬に多く見られ、相手に対して「敵意がない」「従っています」と伝えるために尿を漏らすことがあります。これは「サブミッシブ・ウリネーション(服従排尿)」とも呼ばれ、うれしょんと混同されることも多いですが、やや異なる動機が関係しています。

また、過去に「喜んで排尿したことで飼い主が構ってくれた」という経験がある犬は、報酬として行動が強化されてしまっている可能性もあります。犬にとっては、排尿が「関心を得られる手段」として認識されることもあるのです。

うれしょんと「粗相」との違いとは?

うれしょんは感情に由来する一時的な排尿であるのに対し、一般的な「粗相」はトイレトレーニングの未熟、健康状態の問題、あるいはストレスなどにより、意図せず適切な場所で排泄できない状況を指します。

粗相の場合は、排尿の量が多く、トイレ以外の場所に何度も繰り返されることが多い点が特徴です。また、排尿前にそわそわしたり、くるくる回ったりといった予兆行動が見られることがあり、犬自身に「排尿しよう」という意図があるケースもあります。

一方、うれしょんは、挨拶の瞬間や褒められた直後など、明確なタイミングと紐づいて起こることが多く、予兆行動はなく、排尿後も犬が自覚していない様子を見せることがほとんどです。

このように、「感情による無意識な反応」か「排泄行動としての排尿」かが、うれしょんと粗相を見分ける大きなポイントとなります。

うれしょんをしたときの飼い主の対応

うれしょんは決して悪意のある行動ではありません。そのため、排尿をしてしまったからといって叱ることは逆効果となります。犬は何に対して怒られているのかを理解できず、飼い主の帰宅=怖いことと学習してしまい、かえって不安感や服従心が強まり、うれしょんを悪化させることがあります。

正しい対応としては、まずは冷静に無反応を装い、興奮を鎮めることが大切です。帰宅時には声をかけずに静かに室内に入り、犬が落ち着いた後にやさしく接するよう心がけましょう。犬が落ち着いた状態であれば、排尿につながることは少なくなります。

また、排尿後の掃除の際も、犬の目の前で大きなリアクションを取らないようにしましょう。「掃除している姿」に反応があると、注目を引く行動として排尿が強化されてしまう場合もあります。

うれしょんを治すためにできること

うれしょんの改善には、まず環境の整備と飼い主の接し方の工夫が求められます。最も有効なのは「興奮の予防」です。帰宅時や来客時には静かに振る舞い、犬が飛びついてきても反応せず、自然と落ち着くのを待ってから声をかけたり、撫でたりするようにしましょう。

また、挨拶のタイミングを変えることも効果的です。玄関ではなく、リビングや別の部屋で落ち着いてから再会することで、興奮を抑えられます。

加えて、日頃から落ち着いた状態で褒められる経験を積ませることも重要です。例えば、指示を聞いて静かにお座りできたときや、目を見てアイコンタクトが取れたときなど、落ち着いた行動に対して報酬を与えるようにすれば、犬は「落ち着く=良いこと」と学習していきます。

必要に応じて、動物行動学の専門家やドッグトレーナーに相談するのもひとつの選択肢です。特に成犬になっても改善が見られない場合や、生活に支障がある場合は、行動療法や環境調整を専門的に行うことで、より効果的な対処が可能になります。

まとめ:うれしょんは「感情」のサインとして受け止めよう

犬のうれしょんは、感情の昂りや未成熟な神経系によって引き起こされる自然な反応です。粗相とは異なり、しつけの失敗や問題行動ではありません。叱ることなく、犬の気持ちを理解しながら、適切な接し方と環境の整備で改善を目指すことが大切です。

成長とともにおさまるケースも多いため、焦らず、落ち着いた関係性を築くことを第一に考えましょう。飼い主の対応ひとつで、犬の安心感は大きく変わります。

タイトルとURLをコピーしました