犬が「ブーブー」と鼻を鳴らすのは逆くしゃみ?考えられる原因と飼い主がとるべき対応とは

犬が「ブーブー」と鼻を鳴らすのは逆くしゃみ?考えられる原因と飼い主がとるべき対応とは 犬について
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犬が「ブーブー」と鼻を鳴らす逆くしゃみとは?

犬が突然、「ブーブー」「グフッグフッ」というような音を立てながら息を吸い込むような動作を見せたことはありませんか?この現象は「逆くしゃみ」と呼ばれ、医学的には「発作性呼吸」とも表現されます。通常のくしゃみが鼻から空気を勢いよく外に出す動作であるのに対し、逆くしゃみは強く息を吸い込む点が大きな違いです。

とくに小型犬や短頭種、アレルギーを持つ犬に多く見られ、一見すると呼吸困難や発作のようにも見えるため、初めて目にする飼い主は驚いてしまうかもしれません。しかし多くの場合、この症状は数十秒ほどで自然に収まり、命に関わるようなものではないことがほとんどです。

とはいえ、慢性的に起きている場合やほかの症状を伴う場合には、何らかの病気が関係している可能性もあるため、注意が必要です。

逆くしゃみの主な原因とは

鼻や喉への刺激が引き金になることが多い

逆くしゃみが起きる原因の多くは、犬の鼻腔や軟口蓋、咽頭部への刺激です。散歩中に草むらに顔を突っ込んだり、埃っぽい場所を歩いたりした直後に起こることもよくあります。また、香水や芳香剤、掃除用スプレーの成分なども、刺激となって発作を誘発する場合があります。

犬の鼻腔はとても敏感で、人間では感じ取れないようなわずかな刺激にも反応してしまうため、日常生活の中で知らず知らずのうちに誘発されているケースも多いのです。

興奮や急な動きも引き金になる

また、遊びの最中や興奮した後に逆くしゃみを起こすことも珍しくありません。特に好奇心旺盛な若い犬や、活発な小型犬では、感情の高まりが呼吸リズムに影響を与えることで逆くしゃみにつながると考えられています。

リードを急に引いたり、首輪が喉元を強く圧迫した際にも発症する場合があるため、日頃の散歩中の扱い方にも注意が求められます。

逆くしゃみと見分けにくい病気や症状

繰り返す逆くしゃみは慢性炎症のサインかも

逆くしゃみ自体は一時的な現象ですが、頻繁に見られる場合には、アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎などの呼吸器系の病気が背景にある可能性もあります。とくに鼻水が多く出ている、くしゃみが続く、目やにも増えているといった症状を併発している場合は、早めの診察が必要です。

また、慢性化すると粘膜が腫れて、刺激にさらに敏感になり、逆くしゃみの頻度が増すという悪循環に陥ることもあるため、放置は避けましょう。

気管虚脱や短頭種気道症候群など重篤な疾患の可能性

とくに注意したいのは、気管虚脱や短頭種気道症候群など、構造的な異常を伴う疾患です。これらは「呼吸音が大きくなる」「運動後に息が荒くなる」「いびきをかく」といった症状をともない、進行すると呼吸困難を引き起こすこともあります。

とくにチワワやポメラニアンなどの小型犬や、フレンチブルドッグやパグといった短頭種は先天的に気道が狭いため、逆くしゃみの頻度が高くなる傾向があります。呼吸に異常を感じたら、早めに専門医の診察を受けることが重要です。

飼い主ができる逆くしゃみの対処法

逆くしゃみが始まったときの対応

発作的に逆くしゃみが始まった場合、まずは落ち着いて様子を見守ることが第一です。慌てて大きな声を出したり、無理に犬を動かしたりすると、かえって症状が長引いてしまう可能性があります。

飼い主ができる簡単な対処法としては、以下のような手段が効果的です。

犬の鼻先を軽く押さえるようにして、ゆっくりと息を吐かせるイメージでマッサージする方法。あるいは喉元を優しくさすってあげると、気道の筋肉がリラックスして、逆くしゃみが自然と治まることがあります。

また、軽く口をふさぐようにして、鼻呼吸を一瞬促すことで、呼吸リズムを整える補助にもなります。ただし力を入れすぎたり、無理に口を押さえ込んだりするのはNGです。

再発を防ぐための生活環境の見直し

発作を起こしやすい環境要因が思い当たる場合には、その原因を取り除くことが再発防止のポイントになります。空気清浄機を使用したり、芳香剤やスプレー類を控えることで、鼻腔への刺激を減らすことができます。

散歩コースも見直し、草むらや砂埃が舞いやすい場所は避けると良いでしょう。また、引っ張り癖のある犬には、首輪よりもハーネスを使用することで喉への圧迫を軽減することができます。

食事や生活リズム、運動量の調整によってストレスを抑えることも、発作の予防につながります。身体的にも精神的にも安定した日常を提供することが、症状を抑える最大の予防策となるのです。

動物病院へ行くべきサインとは?

逆くしゃみが数秒~数十秒で収まる、あるいは月に1〜2回程度の頻度で起きているだけであれば、経過観察でも問題ないことがほとんどです。しかし以下のような症状が見られる場合は、迷わず動物病院を受診しましょう。

発作の時間が1分以上続く、頻度が急に増えた、逆くしゃみに伴って失神や吐き気、ふらつきなどの異常が見られる場合には、心疾患や神経系の病気が関係している可能性も考えられます。

また、明らかに鼻水やくしゃみが多くなっている場合や、呼吸時に異音が混じる場合は、鼻腔や気管の炎症・感染が疑われます。これらは早期発見・早期治療が鍵になるため、動画などで症状を記録しておくと、診察時の参考になります。

飼い主が気づいてあげられることの重要性

逆くしゃみは病気とは言い切れない一過性の反応であることが多い一方、背景に疾患が隠れていることもあるため、「いつもと違う」「頻度が変わった」といった小さな変化を見逃さないことが大切です。

愛犬の様子を日頃からよく観察しておくことで、逆くしゃみの発生頻度やきっかけにパターンがあるかを把握できるようになります。ちょっとした変化にいち早く気づいてあげられるのは、日々接している飼い主だけです。

その気づきが、重症化を防ぎ、犬の健康と快適な生活を守る第一歩になります。

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