犬の足を引きずるのはなぜ?考えられる原因と受診すべきサインとは

犬の足を引きずるのはなぜ?考えられる原因と受診すべきサインとは 犬について
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犬が突然足を引きずるようになると、飼い主としてはとても心配になります。軽い打撲や一時的な違和感で済むこともあれば、見逃すべきではない重大な病気が隠れている場合もあるからです。日常の様子をよく観察することで、必要なタイミングでの受診やケアができます。この記事では、犬が足を引きずるときに考えられる原因、注意すべき症状、早急な対応が必要なケースについて詳しく解説していきます。

軽視してはいけない「足を引きずる」というサイン

犬が足を引きずる動作は、一般的にはどこかに痛みや違和感があることを示すサインです。普段は元気に走っている犬が片足を持ち上げたり、引きずるように歩いている場合、骨や関節、筋肉、神経、あるいは肉球などに異常がある可能性があります。そのまま放っておくと、症状が悪化し、慢性的な痛みや歩行困難に繋がるおそれもあるため、慎重な観察が必要です。

どの足を引きずるかで見えてくるヒント

犬が引きずる足が前脚か後脚かによって、考えられる原因の傾向も変わります。前脚を引きずる場合には、肩関節や肘関節の炎症、神経の圧迫が疑われます。一方、後脚であれば、股関節形成不全、膝蓋骨脱臼、椎間板ヘルニアなどの疾患が背景にある可能性があります。足の引きずり方も注目ポイントで、ピョコピョコと浮かせるように歩いているのか、足先を地面に擦っているのかでも異なる病態が考えられます。

日常の動きから異常を読み取る

足を引きずる以外にも、寝起きにぎこちない動作を見せたり、歩き始めにふらついたりするようであれば、関節や神経に何らかの問題を抱えている可能性があります。また、散歩を嫌がる、階段を上りたがらない、抱っこを嫌がるといった様子が見られる場合、目に見えない痛みがあると疑った方がよいでしょう。犬は本能的に痛みを隠そうとするため、小さな異変を見逃さない観察力が大切です。

代表的な原因「けが」「外傷」

最も多い原因の一つは、打撲や捻挫、切り傷といった外傷です。特に外での散歩や激しい遊びの後に足を引きずり始めた場合には、肉球の傷や爪の折れ、関節の捻挫が疑われます。触れた際に痛がったり、足を触られるのを嫌がる場合は要注意です。外見に異常がないように見えても、深部で筋や腱が傷んでいることもあるため、症状が続くなら早めに受診した方が安心です。

関節の異常「膝蓋骨脱臼」「股関節形成不全」

小型犬で多く見られるのが膝蓋骨脱臼です。膝の皿がずれてしまうことで、片足をケンケンのように持ち上げたり、急に足を引きずるようになります。遺伝的な要因が強く、成長期に多く見られますが、成犬になってからでも起こることがあります。大型犬では股関節形成不全が多く、股関節の発育異常によって関節に炎症が起こり、痛みを伴う歩き方になることがあります。これらは早期発見・早期対応が予後に大きく関わるため、様子見は避けたいところです。

椎間板ヘルニアなどの神経性の障害

特にダックスフンドなど胴長短足の犬種に多く見られるのが、椎間板ヘルニアです。背骨の間にあるクッションのような椎間板が潰れ、神経を圧迫することで後脚に力が入らなくなり、足を引きずるようになります。進行すると歩けなくなることもあり、早急な処置が必要です。軽度でも、歩き方がふらつく、後ろ足を引きずる、ふんばりが効かないといった様子が見られたら、すぐに受診するべきでしょう。

肉球や爪のトラブルも見逃せない

見落とされがちですが、肉球の乾燥やひび割れ、異物の刺さり、爪の損傷も足を引きずる原因になります。特にアスファルトの熱によるやけどや、ガラス片などの異物の刺さりは注意が必要です。足裏を丁寧に観察し、赤み、腫れ、出血がないか確認してみましょう。痛みが強いときには足を地面に着けたがらない様子も見られます。

免疫疾患や感染症も可能性のひとつ

ごくまれですが、関節炎や筋炎といった自己免疫疾患が原因で足を引きずることがあります。また、バベシア症などマダニ媒介による感染症では、貧血や筋肉の炎症によって足に力が入らなくなることがあります。これらは発熱や全身のだるさ、食欲不振を伴うことが多く、足の異常だけでなく全体的な体調変化が見られるときには感染症の疑いも視野に入れておきましょう。

動物病院へすぐに行くべき症状とは

単なる違和感や軽いけがであれば、1〜2日で症状が改善することもあります。しかし、次のような場合には様子見せず、速やかに動物病院を受診することが重要です。

  • 足をまったく地面につけない状態が数時間以上続く
  • 歩行に支障が出るほどふらつきがある
  • 触れられることを強く嫌がる
  • 痛みで鳴く、震える
  • 足の形や動きに明らかな異常がある
  • 食欲や元気がなく、ぐったりしている

これらの症状は、重度の骨折や神経損傷、深刻な内科的疾患の可能性があり、時間が経つほど治療が難しくなることもあるため、早めの判断が求められます。

自宅での応急対応と観察のポイント

すぐに病院へ行けない状況の場合は、まず安静にさせることが第一です。無理に動かしたり、散歩に連れて行くのは避けましょう。また、患部を氷嚢や冷湿布で冷やすことで炎症や痛みが軽減することもあります。ただし、出血がある場合は止血を優先し、包帯などで圧迫しすぎないよう注意が必要です。観察では、「いつから引きずっているか」「どのようなきっかけがあったか」「足のどの部位をかばっているか」といった情報を記録しておくと、診察時に役立ちます。

まとめ:足の異常を見逃さず、早めの判断を

犬が足を引きずるのは、痛みや異常の明確なサインです。「すぐ治るだろう」と安易に考えず、日々の変化に目を向けることで、大きなトラブルを防ぐことができます。原因は多岐にわたり、目に見えるけがだけでなく、関節疾患や神経の障害、全身疾患が潜んでいる可能性もあるため、専門的な診断を受けることが大切です。飼い主の早い判断と行動が、愛犬の健康を守る一歩となります。

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