愛犬が他の犬を噛んでしまった!原因と改善法、飼い主がすべき対応とは

愛犬が他の犬を噛んでしまった!原因と改善法、飼い主がすべき対応とは 犬について
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予期せぬトラブルに焦らないために

散歩中やドッグランで愛犬が他の犬を噛んでしまった——。

そんな瞬間、飼い主は驚きとショック、そして強い罪悪感に包まれます。しかし、感情的に叱るだけでは根本的な解決にはつながりません。噛んでしまった行動の背景には、犬の本能や学習経験、社会化不足、環境要因など、さまざまな理由が隠れています。まずは落ち着いて、原因を理解することから始めましょう。

犬が他の犬を噛んでしまう主な原因

恐怖や不安による防衛反応

最も多いのは「恐怖」に基づく防衛反応です。犬は自分より大きい犬や動きの速い犬、しつこく近づく犬に対して恐怖を感じると、「逃げるか、戦うか」という選択をします。逃げ場がない場合、攻撃に転じてしまうことがあります。

これは「攻撃的」というよりも、「怖くて仕方がない」行動です。子犬期に十分な社会化ができていない犬や、過去に他の犬に攻撃された経験がある犬は特にこの傾向が強くなります。

飼い主への過剰な保護心

飼い主を守ろうとする意識も、他犬への攻撃の引き金になります。リードを持つ飼い主のそばで他の犬が近づいてくると、「自分の縄張りに入ってくる」と感じてしまうのです。特にリードが張った状態だと、犬は逃げられないと判断してより防衛的になります。

このような「リードアグレッション(リード攻撃性)」は、散歩中に起きやすいトラブルの一つです。

社会化不足とコミュニケーションの誤り

犬同士は、匂いを嗅ぎ合ったり、体の向きや耳・しっぽの動きで気持ちを伝え合います。

しかし、幼少期に他の犬と触れ合う機会が少ないと、こうした犬語がわからず、相手のサインを誤解してしまうことがあります。本来なら「遊びの誘い」としての行動を「挑発」と受け取ってしまい、噛みに発展するケースも少なくありません。

ストレスやフラストレーション

運動不足や精神的刺激の欠如も攻撃行動を誘発します。十分に発散できていない犬は、ストレスが蓄積し、他の犬を目にした瞬間に感情が爆発することがあります。特に若くてエネルギーに満ちた犬は、適切な発散が必要です。ドッグランで急に興奮しすぎてしまうのも、ストレスの反動の一形態といえます。

飼い主がまず行うべき対応

冷静に犬を引き離す

噛み合いが起きた瞬間は、決して叫んだり慌てたりしてはいけません。飼い主が興奮すると犬もさらに緊張し、攻撃が激しくなります。

すぐにリードを引いて距離をとり、相手の犬の飼い主にも冷静な声で状況を伝えましょう。可能であれば犬を自分の体で遮り、視線が合わないようにします。無理に口をこじ開けたり、手で犬を引き離すと、反射的に噛まれる危険があるため避けましょう。

相手への誠実な謝罪と確認

噛まれた相手の犬にケガがある場合は、必ず動物病院の受診を提案し、治療費などの対応を誠実に行います。

連絡先を交換し、必要ならば保険(ペット保険や個人賠償責任保険)の確認も行いましょう。感情的にならず、冷静なやり取りを心がけることが大切です。

事故後は必ず獣医師やトレーナーに相談を

噛みつき行動には医学的な要因(痛み、ホルモン異常、神経疾患など)が隠れていることもあります。

まずは動物病院で健康面に異常がないかをチェックしましょう。健康に問題がない場合は、行動学に詳しいドッグトレーナーや獣医行動診療科に相談し、行動修正プログラムを立てることをおすすめします。

噛みつきを防ぐための改善アプローチ

社会化トレーニングのやり直し

成犬でも、段階的な社会化は可能です。

まずは他の犬が遠くに見える距離から始め、落ち着いていられる範囲で「おやつ」などを与え、他犬の存在をポジティブなものとして再学習させます。焦らず、数メートル単位で距離を縮めることがポイントです。専門家の指導のもとで、安全な環境で徐々に経験を積ませましょう。

リードアグレッション対策

リードの張りすぎは犬の警戒心を高めるため、「ゆるめのリードコントロール」が基本です。飼い主が緊張してリードを強く握ると、その緊張が犬に伝わり、相手を「危険」と誤認してしまいます。呼び戻しの練習や「アイコンタクト」で集中をこちらに向ける訓練も有効です。

環境調整とストレスケア

散歩コースやドッグランの利用時間を見直すのも効果的です。混雑時を避け、犬が落ち着いて過ごせる時間帯を選びましょう。

家庭では、安心して過ごせる静かなスペースを確保し、十分な睡眠と運動を与えることが大切です。咀嚼行動や嗅覚を使う遊び(ノーズワークなど)は、精神的満足度を高め、攻撃衝動の緩和に役立ちます。

飼い主の態度を見直す

犬は飼い主の感情に敏感です。飼い主が緊張したり、相手の犬を見て不安そうな表情をすると、それがそのまま犬に伝わります。穏やかで安定した態度を心がけ、「他の犬がいても大丈夫」と感じさせることが、最良の予防策です。しつけにおいても、罰ではなく「正しい行動を褒めて強化する」方法を選びましょう。

ドッグランでのマナーと再発防止策

事前の観察と入場判断

ドッグランに入る前に、他の犬たちの雰囲気を観察しましょう。走り回っている犬が多い場合や、興奮した犬が多い時は入場を控えるのも選択肢です。噛み癖が一度でも出た犬は、トレーニングで改善するまでは無理にドッグランに入れないことが重要です。

首輪・リードの管理

伸縮リードや緩い首輪は制御が遅れやすく危険です。安全な固定リードを使い、すぐに制止できるよう準備しておきましょう。万が一のために、口輪の装着を検討するのも一つの方法です。口輪は罰ではなく、安全のための道具と捉え、慣らしておくと安心です。

攻撃行動の背景を理解する視点

学習された攻撃行動

一度「噛んだことで相手が離れた」という経験をすると、犬はそれを有効な手段として学習してしまうことがあります。これを「学習された攻撃行動」と呼びます。こうした行動は放置すると習慣化するため、早期の行動修正が不可欠です。

医学的要因

痛みを伴う疾患(関節炎、耳の炎症、皮膚炎など)は、触られたときの痛みに反応して噛む行動を誘発します。突然の噛みつきが起きた場合、まず健康状態を疑うことが大切です。

飼い主が心得ておくべきこと

犬が噛む行動は、単なる「悪い癖」ではなく、何らかのメッセージです。「怖い」「嫌だ」「守りたい」など、犬なりの理由が存在します。飼い主が冷静にその背景を読み取り、恐怖や不安を減らす環境を整えることが、真の改善への第一歩です。トレーニングを継続することで、多くの犬は再び穏やかな関係を築けるようになります。

まとめ

犬が他の犬を噛んでしまった場合、焦って叱るよりも「なぜ噛んだのか」を理解することが重要です。恐怖・防衛本能・社会化不足・ストレスなど、背景には複雑な要因があります。冷静な対応と専門的なトレーニング、そして飼い主自身の落ち着いた態度が、再発防止への鍵となります。愛犬を責めるのではなく、共に成長していく視点を持つことが、信頼関係をより深める第一歩です。

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