猫が水を飲まないときに飼い主がすべきこと。水分不足が招くリスクと対処法

猫が水を飲まないときに飼い主がすべきこと。水分不足が招くリスクと対処法 猫について
この記事は約5分で読めます。

猫が水を飲まないのはよくあること?

猫はもともと砂漠地帯で暮らしていたリビアヤマネコを祖先にもつ動物で、犬と比べて水をあまり飲まなくても生活できるように進化してきました。そのため、たとえ水を飲む姿をあまり見かけなくても「そんなものか」と見過ごされがちです。しかし、現代の飼育環境において水を飲まないことは、深刻な健康トラブルの引き金になることがあります。

猫が十分に水分をとっていない状態が続くと、膀胱炎や尿路結石、さらには慢性腎臓病といった重大な病気を招くおそれがあります。とくに高齢の猫では水分不足が命取りになることもあるため、普段の飲水量に注意を払うことがとても重要です。


なぜ猫は水を飲まないのか?原因を探る視点

猫が水を飲まない理由は、単なる好みや気分の問題ではありません。環境的なストレスや、体の不調、食事の内容など、さまざまな要因が関係している可能性があります。

たとえば、水を置いている場所が気に入らなかったり、器の素材や形が苦手だったりするだけでも、飲水を避けるようになります。食器の近くにトイレがあると衛生的な不快感を覚え、飲まないこともあります。

一方で、身体的な異常が背景にある場合もあります。口内炎や歯周病などの痛みによって水を口に含むのがつらくなっていたり、腎臓や消化器系に何らかの疾患が隠れていたりするケースもあります。こうした異常はとくに中高齢の猫に多く見られるため、飲水量の変化は重要な体調のバロメーターと考えるべきです。


水を飲みたくなる環境づくりとは?

猫に水を飲んでもらうためには、まず環境を見直すことが基本です。猫は非常に繊細な感覚を持っており、ちょっとした違いにも敏感に反応します。

まず見直したいのが「水の置き場所と数」です。猫は縄張り意識が強いため、リビングだけにしか水を置いていないと、ほかの場所にいるときはわざわざそこまで行かないこともあります。部屋ごとに水を設置しておくことで、飲みやすいタイミングが増えるでしょう。

また、水を入れる器の素材も重要です。陶器やガラス、ステンレスなど、においが付きにくく衛生的な素材が好まれます。プラスチックはにおいや傷がつきやすく、猫にとって不快な場合があります。さらに、ヒゲが器に当たるのを嫌がる猫も多いため、広くて浅い形状のボウルを選ぶとストレスを減らせます。


水の種類や温度を変えてみる

飲み水自体に原因がある場合もあります。たとえば、猫が水道水のカルキ臭を嫌がっているようであれば、浄水器を通した水やペット用のナチュラルウォーターを試してみるのも手です。

また、水温にも好みがあります。常温の水ではまったく飲まなかった猫が、ぬるま湯にしただけで積極的に飲むようになるケースもあります。とくに寒い季節には、常温より少し温めた水の方が猫の体にも負担が少なく、飲みやすく感じられることがあります。


流れる水が好きな猫もいる

蛇口から流れる水を好んで飲みたがる猫にとっては、静止した水より「動きのある水」の方が魅力的です。これは野生時代の本能によるもので、動いている水の方が新鮮で安全という認識が備わっているためです。

そのような猫には、自動給水器の導入が効果的です。循環する水を常に新鮮な状態で提供できるほか、フィルターによって不純物も除去されるため、安全性も高まります。流れる水の音に興味を示し、遊び感覚で水を飲むようになることもあります。


食事からの水分補給を増やす方法

水を直接飲むのが苦手な猫には、食事から水分を摂る方法も非常に有効です。ドライフードしか与えていない場合、水分含有量は10%以下のため、自然と水分不足に陥りやすくなります。

そこで、ウェットフードを積極的に取り入れることで、1食あたりの水分摂取量を飛躍的に高めることができます。スープタイプのフードや、ウェットフードにぬるま湯を加えて「なんちゃってスープ」にするなどの工夫も有効です。

ただし、総合栄養食としての基準を満たしているかどうかは確認が必要です。ご褒美やトッピング用の一般食ばかりに偏ると、栄養バランスが崩れる可能性があります。あくまで栄養面と水分補給の両立を意識しながら活用しましょう。


急な飲水量の減少は受診を検討

どれだけ環境や食事を見直しても水を飲まない、あるいは以前より極端に飲まなくなった場合には、病気が疑われます。腎臓疾患、糖尿病、膀胱炎、口腔内の炎症など、水に関わる病気は少なくありません。

尿の色が濃い、回数が減っている、食欲も落ちている、口臭がするなどの症状があれば、早めの受診が推奨されます。水を飲まないという行動の裏には、猫なりのSOSが隠れていることを忘れてはいけません。


毎日の飲水量を記録する習慣を

猫の飲水習慣を把握するためには、日々の変化を観察することがなにより重要です。どのくらい水が減ったか、水皿にどれだけ残っているかなど、ざっくりでもよいので毎日見て記録する習慣を持ちましょう。

複数の水皿を用意しておけば、どの器からよく飲んでいるかという好みも把握できます。トイレの回数や尿の色も含めて、日々の観察が猫の健康維持に直結します。


まとめ:猫が水を飲まないなら、飼い主が工夫を

猫が水を飲まないという問題は、ただ「気まぐれだから」と片づけてはいけません。少しの水分不足でも体調に大きく影響するため、飼い主が環境や食事、水の与え方を工夫していくことが重要です。

猫が自ら「飲みたい」と思えるような環境を整えること。飼い主のこの気遣いが、猫の健やかな暮らしを支える大きな一歩になります。

タイトルとURLをコピーしました