猫にマタタビを与えるのはなぜ?適切な頻度とメリット・デメリット、与える際の注意点

猫にマタタビを与えるのはなぜ?適切な頻度とメリット・デメリット、与える際の注意点 猫について
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猫とマタタビの関係とは?

猫とマタタビの不思議な関係は、昔からよく知られています。マタタビに触れると、体をこすりつけたり転げまわったりする姿は、多くの飼い主が一度は目にしたことがあるでしょう。では、なぜ猫はマタタビに反応するのでしょうか。その理由には、生物学的な根拠があります。

マタタビには「アクチニジン」や「マタタビラクトン」など、猫の感覚を刺激する揮発性成分が含まれており、これらが猫の嗅覚中枢に作用して、陶酔状態のような反応を引き起こします。この反応は性的興奮とも似た状態とされ、特に未避妊・未去勢の成猫で強く表れる傾向があります。

この現象はすべての猫に見られるわけではなく、反応するかどうかは遺伝によって決まります。研究によれば、およそ7割の猫がマタタビに反応を示すとされており、残りの3割はほとんど反応しません。

マタタビを与える目的とその効果

マタタビを与える行為は、単なる「楽しみ」だけにとどまりません。実際、マタタビにはいくつかの実用的な目的や効果があり、飼い主の工夫次第で役立てることが可能です。

最も一般的なのは「ストレス解消」です。環境の変化や長時間の留守番、引っ越しなど、猫にとってストレスとなる場面でマタタビを与えると、リラックスした様子を見せることがあります。心身の緊張を一時的にほぐす効果が期待できるため、精神的なケアの一環として用いられることもあります。

また、マタタビは運動不足の解消にも一役買うことがあります。特に室内飼いで刺激が少ない猫にとっては、マタタビが動機づけとなり、転げ回ったり遊びまわったりすることで軽い運動にもつながります。

そのほか、爪とぎやキャリーバッグへの誘導など、「嫌がることを自発的にさせたいとき」に使うこともできます。マタタビの香りをうまく利用することで、猫にとってポジティブな印象を与えやすくなるのです。

与える頻度はどれくらいが適切?

どれほど喜ぶとはいえ、マタタビを日常的に与え続けるのは適切とは言えません。マタタビの作用はあくまで一時的なものであり、過剰に与えると興奮しすぎてしまったり、慣れて反応が鈍くなることもあります。

基本的には週に1~2回程度が目安とされています。それ以上頻繁に与えてしまうと、過剰な刺激によって健康に悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。とくに持病のある猫や高齢猫、幼齢期の子猫には慎重な対応が求められます。

また、与えたあとはしばらく時間を置くことが重要です。一度強く反応した後は、数時間から数日間は再び与えても興味を示さない場合があり、それは体が一時的に耐性を持ってしまうためと考えられています。

マタタビの与え方にはどんな種類があるか

マタタビはさまざまな形状で市販されています。粉末状のものからスプレータイプ、枝状、実、さらにはおもちゃに練り込まれたものまで、選択肢は豊富です。どのタイプを選ぶかは猫の好みや使う目的によって変えると良いでしょう。

粉末状のマタタビは、猫が好む布や爪とぎ、おもちゃなどにふりかけて使用します。効果が早く現れやすい反面、吸い込みすぎると咳き込んだりむせることがあるため、使用量には注意が必要です。

枝状のものは猫がかじって楽しむ形式で、歯の健康にも一定のメリットがありますが、噛みすぎると小さな破片を飲み込んでしまうリスクもあるため、必ず見守りながら与えるようにしましょう。

スプレータイプは家具やキャリーバッグなどへの誘導に便利で、シチュエーションに応じて香りをつけたい場合に有効です。スプレーの中には合成香料を含むものもあるため、できるだけ天然成分のものを選ぶのが無難です。

マタタビのメリットとデメリット

マタタビの最大のメリットは、猫にとって「ご褒美」や「楽しみ」として使える点です。ときに緊張をほぐし、飼い主との関係づくりの潤滑油にもなり得ます。また、ストレスや運動不足の軽減、習慣づけの補助など、生活の質を高める手段としての可能性も秘めています。

一方で、過剰摂取や依存状態に陥るリスク、嘔吐や下痢といった消化器症状、あるいは攻撃的な興奮状態など、デメリットも無視できません。特に複数頭飼育している家庭では、マタタビの影響による喧嘩が起こることもあります。

また、子猫や高齢猫、持病のある猫にはマタタビの刺激が強すぎる場合があり、動物病院で相談の上で使うことが推奨されます。

与えるときの注意点と安全な使い方

マタタビを安全に使用するためには、いくつかの基本的なルールを守ることが大切です。まず第一に、無理に与えないこと。反応しない猫も一定数存在し、それは異常ではありません。興味を示さない場合は、無理強いせず自然にまかせましょう。

次に重要なのが、周囲の安全確認です。猫が転げ回ったりジャンプすることが予想されるため、家具の角や落下しそうなものがないかを事前にチェックしておくと安心です。

そして、複数頭で同時に与えないこともポイントです。マタタビの影響下では猫の気性が荒くなることがあり、ふだんは仲の良い猫同士でも喧嘩になる恐れがあります。できるだけ一匹ずつ、別室で与えるようにするのが理想です。

最後に、使用後の様子を観察することが大切です。興奮が長引いていたり、嘔吐やふらつきなどの異常が見られる場合は、すぐに使用を中止し、必要であれば動物病院に相談するようにしましょう。

マタタビに代わる刺激や遊び方も考えよう

マタタビはたしかに魅力的なアイテムですが、あくまで補助的な役割と考えるべきです。猫の本来の好奇心や運動欲求は、日々の遊びや環境の工夫によっても十分満たせます。

たとえば、フェルト製のボールや羽根付きのじゃらし、キャットタワーやトンネルなど、身体を動かすおもちゃを定期的に入れ替えながら使うことで、猫にとっての刺激を持続させることができます。また、窓辺に座れるスペースを用意したり、においの異なるおもちゃを使うだけでも、十分な変化になります。

マタタビに頼りすぎず、猫の「自発的な楽しみ」を引き出す視点を忘れずに持つことが、飼い主と猫の良好な関係の鍵となるでしょう。

まとめ

猫がマタタビに反応する理由は、香り成分が神経に作用し一時的な興奮状態をもたらすためです。ストレス緩和や運動の促進といったメリットがある一方で、過剰摂取による興奮や消化不良といったリスクもあるため、使用頻度や量に注意が必要です。週1~2回の適切な使用を守り、猫の様子を見ながら無理なく取り入れましょう。

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