犬と暮らしていると、ちょっとした体調の変化に気づく場面が多くあります。「咳をした」「少し元気がない」など、様子見しても大丈夫なのか、それともすぐ動物病院に行くべきなのか、判断に迷うことも少なくありません。
この記事では、よく見られる犬の症状について、それぞれがどのような状態を示している可能性があるのか、病院に連れていくべきかどうかの目安とともに解説します。
咳をしているときに考えられること
単なる刺激?それとも病気のサイン?
犬が「ケホケホ」と咳をする場合、たとえば埃や乾燥などによる一時的な刺激の可能性もありますが、繰り返し咳が出る場合や、発作的に続くような咳は注意が必要です。小型犬に多い「気管虚脱」や、ウイルス感染、心臓病などが原因となっているケースも考えられます。
咳が続く場合は受診を
とくに、夜間や運動後に咳が悪化する場合、呼吸が苦しそうに見える場合、あるいは咳とともに元気や食欲がなくなるような場合は、すぐに動物病院での検査を受けることをおすすめします。
くしゃみが多いときの注意点
アレルギー?異物混入?鼻炎の可能性も
犬が頻繁にくしゃみをする場合、鼻の中に何か異物が入っているか、ハウスダストや花粉などによるアレルギーの可能性があります。くしゃみの勢いが強く、何度も繰り返す場合は慢性鼻炎やウイルス性疾患の兆候であることも。
出血や鼻水を伴うときはすぐに病院へ
くしゃみに加えて血の混じった鼻水が出ている、あるいは片側の鼻からだけ鼻水が出るといった場合は、腫瘍や重度の感染症が疑われるため、早急に受診が必要です。
嘔吐しているときの見極め方
一度だけ?何度も?内容にも注目を
犬は比較的吐きやすい動物で、胃が空っぽの状態で黄色い液体(胆汁)を吐くこともあります。一度だけの嘔吐でその後元気がある場合は様子見でもよいことが多いですが、食べ物を吐いたあとも繰り返す場合や、ぐったりしている場合は注意が必要です。
繰り返す嘔吐は緊急性あり
異物誤飲や中毒、胃腸炎、膵炎など、命に関わる疾患が隠れている可能性があります。何度も吐く、吐いたあとにぐったりしている、血が混じっている場合などは、迷わず動物病院へ連れて行きましょう。
熱っぽい・体が熱いと感じるとき
発熱のサインは触ってわかる?
犬の平熱はおおよそ38〜39℃程度です。鼻が乾いている、耳や肉球が熱いなどの体表の変化はあくまで目安で、正確には体温を測る必要があります。発熱は感染症や炎症のサインであり、長引くようであれば病気が進行している可能性も。
体温が高い+他の症状があるなら受診を
元気がない、食欲がない、嘔吐や下痢を伴うなど、発熱以外の症状が見られる場合はすぐに受診してください。
下痢をしているときの対応
軽い消化不良?それとも感染症?
急な下痢があっても、元気や食欲が保たれていれば、食べすぎや一時的なストレスが原因のこともあります。ただし、水のような下痢が続く、血が混じっている、嘔吐もあるという場合は、ウイルス性腸炎や寄生虫などが疑われます。
子犬・老犬の下痢は特に注意
体力のない子犬や老犬が下痢をすると、すぐに脱水に陥ることがあります。いつもより便が柔らかい程度でも、継続する場合は早めに診察を受けましょう。
元気がない・散歩に行きたがらない
疲れているだけ?それとも異変?
「いつもより静か」「呼んでも反応が鈍い」など、日常の様子と比べて元気がないと感じたときには注意が必要です。特に散歩が好きな犬が外に出たがらないという場合、関節や筋肉の痛み、内臓疾患などが隠れているかもしれません。
突然の変化には要警戒
元気のなさが1日以上続く場合、何かしら体調に異常があると考えましょう。とくにぐったりして動こうとしない、食欲もないという場合は早急な診察が必要です。
目やにや涙が多いときのチェックポイント
片目だけ?両目?色もポイントに
目やにや涙が増えてきたと感じたときは、その色や出方に注目してください。白っぽい目やには正常範囲のこともありますが、緑色や黄色に変化していたり、片目だけに見られる場合は感染症や角膜のトラブルの可能性があります。
目をこする仕草があるなら注意
犬が前足で目をこすろうとする、まぶたを閉じがちになるなどの様子があれば、痛みや異物感を訴えているサインです。放置すると視力に関わる可能性もあるため、早めに診察を受けましょう。
食欲がないときの対応
好き嫌い?それとも体調不良?
突然食欲がなくなるのは、軽いストレスや気温の変化でも起こり得ます。しかし、食べ物を見向きもしない、何日も食べないという状態が続く場合、内臓疾患や歯のトラブルなど深刻な問題が潜んでいる可能性があります。
食欲不振が24時間以上続いたら受診を
とくに水分も摂らない、脱水の兆候(皮膚の張りがない、口が乾くなど)が見られる場合は、なるべく早く病院を受診してください。
歩き方がおかしい・ふらふらしている
一時的なものか、継続するかが判断基準
滑って転んだ直後などで一時的に足をかばう様子が見られる場合は、打撲や捻挫の可能性もあります。しかし、ふらつきが続いたり、同じ側の脚をずっとかばっている、左右差がある歩き方が見られる場合は、関節や神経に異常があるかもしれません。
ふらつき+他の症状があれば緊急性あり
ふらふらしているうえに吐き気や元気のなさが見られる場合は、脳や内臓の疾患も考慮しなければなりません。すぐに動物病院を受診しましょう。
口臭が強くなってきた場合
食べ物のせい?それとも病気?
犬の口臭は、口腔内の食べかすが原因であることもありますが、歯周病や口腔内腫瘍、さらには腎臓や肝臓の疾患が原因となっていることもあります。甘酸っぱい、アンモニアのようなにおいがする場合は、内臓疾患を疑う必要があります。
歯茎の腫れや出血もチェック
口臭に加えてよだれが増える、歯茎が赤い・出血しているといった症状がある場合は、歯周病の進行が疑われます。早期治療が重要です。
皮膚に異常が見られるとき
かゆみや湿疹、しこりの有無
皮膚に赤み、かゆみ、かさぶた、脱毛が見られる場合、アレルギーや細菌感染、真菌(カビ)などの皮膚病が考えられます。また、しこりがある場合は腫瘍の可能性もあるため、経過観察で済ませずに診察を受けることが大切です。
犬が執拗に舐めるときは要注意
犬が特定の部位をしきりに舐めたり噛んだりする場合、それは不快感や痛みを訴えるサインです。皮膚が炎症を起こす前に動物病院での検査を受けましょう。
まとめ:迷ったら「早めの受診」が基本
犬の体調変化は、軽いものであっても思わぬ病気のサインであることがあります。特に「ぐったりしている」「食べない」「何度も吐く・下痢をする」といった複数の症状が重なる場合は、迷わず受診を。愛犬の健康を守るためには、日頃の観察と早めの対応が何より大切です。