犬の足裏に起きている異変に気づいていますか?乾燥・ひび割れ・パッドのトラブルと向き合うために

犬の足裏に起きている異変に気づいていますか?乾燥・ひび割れ・パッドのトラブルと向き合うために 犬について
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愛犬がフローリングの上を歩くたび、パタパタと聞こえる足音が以前より大きくなったように感じたことはありませんか?あるいは、散歩のあとに肉球を見てみると、ざらつきや白っぽい乾燥が気になったことは?犬の足裏、つまり「パッド」は人間でいえば靴のようなもの。私たちが外出先で足元を気にするように、犬たちも実は環境の変化や日常生活の影響を受けているのです。

ふとしたきっかけで気づく「足裏の異常」

「最近、やたらと足を舐める」「散歩の途中で立ち止まる回数が増えた」──そんな変化が現れたとき、真っ先に思い浮かべるのは「怪我をしたのかな?」「爪が伸びたのかな?」という不安かもしれません。けれど、意外にもその原因が“肉球”にあるとは気づかない飼い主も多いのです。

肉球は皮膚の中でも特殊な構造を持っており、衝撃を吸収したり、体温調整に関わったりと、さまざまな役割を担っています。ところが、乾燥やひび割れを起こすと、そうした機能が低下し、犬にとって大きなストレスになります。

犬の肉球が乾燥する理由とは?

犬のパッドは一見するとゴムのように丈夫そうに見えますが、実際には皮膚の延長線上にあり、潤いを保つための皮脂分泌もあります。ただし、人間のように汗腺が発達しているわけではなく、外気の影響を受けやすいという弱点があります。

とくに冬場の乾燥した空気や、エアコンの使用で室内の湿度が下がる時期は、肉球の表面がガサガサになりやすくなります。また、夏場はアスファルトの熱によってパッドが軽い火傷を起こし、乾燥や皮むけを招くことも。さらに、洗剤成分の残る床や滑り止めワックスが皮膚を刺激し、角質層のダメージに繋がるケースも見られます。

ひび割れが進行することで生じるリスク

乾燥した肉球は、次第に細かいひび割れを起こし、それが深くなると歩くたびに痛みを伴うようになります。ひびから細菌が侵入すれば炎症を起こし、化膿や腫れの原因に。散歩や運動を嫌がるようになるだけでなく、ストレスから過剰なグルーミングや行動異常を引き起こすこともあります。

ひび割れが一度できると、自然治癒は難しく、治療に時間がかかるのが現実です。そのためにも、乾燥の段階で気づいて対策を打つことがとても重要です。

肉球トラブルの前兆は「ささいな違和感」

犬は言葉で「足が痛い」とは伝えられません。しかし、日々のしぐさや習慣のなかに、気づけるサインはたくさん隠れています。たとえば、散歩後に足裏を執拗に舐める、座っているときに片足を浮かせるような仕草をする、爪ではなくパッド部分をかじる、などは注意すべきサインです。

また、室内でフローリングを歩くときに滑る様子が増えたり、ジャンプや階段の上り下りを嫌がるようになった場合も、足裏の不快感が関係していることがあります。こうした“なんとなくの違和感”に早く気づくことが、ケアへの第一歩です。

肉球の健康を守るにはどうすればいい?

日常の中で取り入れられる肉球ケアは、難しいことではありません。まず大切なのは「清潔を保つこと」。散歩後に足裏を拭く習慣は、乾燥やひび割れの予防にも効果的です。ただし、ウェットティッシュの使い過ぎや、アルコール系除菌シートなどはパッドの油分を奪いすぎてしまうので注意が必要です。

乾燥が気になる季節には、専用の保湿クリームやバームの使用が有効です。これは人間のハンドクリームと似たようなものですが、犬専用に作られているものは舐めても安全な成分が使われています。塗布の際は、犬がリラックスしている時間帯(就寝前など)を選ぶとよいでしょう。

生活環境の見直しも忘れずに

肉球の状態を整えるうえで、室内環境の見直しも大切なポイントです。特に冬場の乾燥対策としては、加湿器の設置や床暖房の温度調整を行うことが推奨されます。また、床材の見直し(滑りにくいラグの導入やコルクマットの活用など)も、肉球への負担軽減につながります。

加えて、栄養バランスの取れた食事を心がけることで、皮膚や被毛だけでなく肉球の健康維持にもつながります。特にオメガ3脂肪酸やビタミンEは、皮膚の潤いを保つうえで欠かせない成分です。

肉球ケアに過剰にならないために

一方で、「ケアをしなきゃ」と意識しすぎるあまり、何度も足裏を触ったり、毎日クリームを塗りすぎたりすることで、犬がストレスを感じてしまう場合もあります。大切なのは、犬のペースに合わせたケアと、無理のない範囲での習慣化です。

嫌がっているときは無理に行わず、まずは足を触る練習から。飼い主の手に安心感を覚えるようにしていけば、自然とケアも受け入れてくれるようになります。

病院に相談すべきタイミング

自宅でのケアだけでは改善しない場合や、ひび割れから出血がある、赤みや腫れがひどいといった症状が見られるときは、すみやかに獣医師に相談することが必要です。菌の感染やアレルギーが関係しているケースでは、外用薬や飲み薬での治療が必要になることもあります。

また、足裏の異常が単なる乾燥ではなく、内臓疾患やホルモン異常のサインである可能性もごくまれにあります。普段の様子とあきらかに異なる場合は、専門家の判断を仰ぎましょう。

まとめ:歩くたびに快適さを感じられる足裏を

犬にとって足裏の健康は、快適な毎日を送るうえで欠かせない要素です。特別なケアグッズをそろえたり、高価なアイテムに頼ったりする必要はありません。ほんの少しの気づきと、日々のちょっとしたケアが、愛犬の生活の質を大きく左右するのです。

「今日は肉球、どうだった?」と声をかけながら、そっと触れてみる。その時間こそが、愛犬との信頼を育む何よりの時間になるはずです。

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