ペキニーズとはどんな犬?歴史から見る独特の魅力
ペキニーズは、中国の宮廷で長く愛されてきた歴史ある小型犬で、古代王宮の生活が現在の性格にも深く影響していると言われています。唐の時代や清の時代の記録にも登場し、皇族の側で暮らしていたことから「犬の皇族」と呼ばれるほど大切に扱われてきました。王宮内では外敵から守られた環境で生活していたため、落ち着いた気質やプライドの高さが育まれ、現在もその名残を思わせる堂々とした態度を見せることがあります。
イギリスに渡ったのは19世紀後半のことで、宮廷崩壊後にヨーロッパへ連れ帰られたことがきっかけでした。その独特の容姿と威厳ある雰囲気は多くの人々を惹きつけ、世界中で家庭犬として人気が高まっていきました。
ペキニーズの性格の特徴
誇り高くマイペースな気質
ペキニーズの性格を語るうえで欠かせないのが、誇り高さです。自分のペースを非常に大事にしており、過度なスキンシップやしつこい接触には距離を置くことがあります。無理に構おうとすると不満そうな表情を見せることもあり、相手との距離感を大切にする犬種といえます。
飼い主への愛情は深いが控えめ
マイペースとはいえ、飼い主のことをよく観察し、そっと寄り添うような穏やかな愛情表現をすることが多いです。抱っこやベタベタとした甘え方よりも、飼い主の足元でくつろぐ、視線を送りながら近くに座るといった控えめな行動を好みます。この奥ゆかしさが、ペキニーズならではの魅力になっています。
頑固さも持ち合わせる
ペキニーズは独立心が強く、納得のいかないことには動こうとしないことがあります。しつけの際には、厳しさよりも、やってほしい行動を丁寧に説明するような一貫性が必要です。自分が理解し、納得すれば素直に動いてくれるため、褒めながら進める方法が向いています。
ペキニーズの飼い方で大切なポイント
暑さに弱い体質への配慮が欠かせない
ペキニーズの飼育で特に注意すべきなのが暑さです。短頭種であり被毛も多いため、夏場は室温管理を徹底しなければ体調を崩す原因になります。冷房を使って室温を一定に保ち、散歩は涼しい時間帯に行う必要があります。真夏のアスファルトは特に危険で、肉球のやけどや熱中症のリスクも高まります。
運動量は控えめで良いが気分転換は必要
体力が極端にある犬種ではないため激しい運動は必要ありませんが、気分転換として散歩は毎日行うことが望ましいです。ゆっくりと自分のペースで匂いを嗅いだり、外の空気に触れたりすることで心の安定にもつながります。ペキニーズにとって散歩は、運動というより生活リズムを整えるための大切な時間です。
被毛ケアは丁寧に行う
豊かなダブルコートは美しい反面、毛玉ができやすく、換毛期には抜け毛も増えます。毎日のブラッシングは負担にならない程度に行い、シャンプーやトリミングも定期的に行うことが必要です。顔のしわ部分に汚れがたまりやすいため、蒸れを防ぐためのケアも欠かせません。
しつけは短時間・ポジティブに
長時間の訓練は集中力が途切れ、逆に頑固さを刺激してしまう可能性があります。褒めながら短時間で行うと効果が出やすく、飼い主との信頼関係も育ちやすくなります。叱られることを極端に嫌うタイプなので、罰を使わず、正しい行動を自然と学べる環境を整えることが重要です。
ペキニーズは飼いやすい?向いている家庭の特徴
ペキニーズは落ち着いた家庭環境に向いている犬種です。運動量が多くなく、常に構う必要もないため、忙しい家庭でも基本的なコミュニケーションが取れていれば問題ありません。ただし、独立心が強いため、犬とたくさん遊んで触れ合いたいというタイプの家庭では物足りなさを感じることがあります。
一方で、静かな時間を共に過ごしたい、マイペースな犬と落ち着いた暮らしを楽しみたいという飼い主には非常に適しています。被毛の手入れや暑さ対策など、生活環境に少し工夫が必要ですが、その点を理解すれば飼いやすい犬種といえるでしょう。
ペキニーズがかかりやすい病気
短頭種に多い呼吸器のトラブル
ペキニーズは短頭種気道症候群のリスクが高い犬種です。鼻孔狭窄や軟口蓋の異常により呼吸がしづらくなることがあり、散歩中にぜいぜいとした呼吸になったり、興奮時に呼吸が乱れたりすることがあります。日常的に呼吸の様子を観察し、異常があれば早めに獣医師に相談することが大切です。
目の病気も起こりやすい
飛び出した目の構造から、角膜炎やドライアイなどの目のトラブルが起こりやすい体質です。強い風や乾燥、ほこりなどによる刺激で悪化することも多く、散歩中は草木に顔を近づけすぎないよう注意が必要です。日常的に目の状態を確認し、涙の量や充血の有無もチェックしておきましょう。
関節疾患のリスク
小型犬の中でも骨格がしっかりしているように見えますが、膝蓋骨脱臼などの関節トラブルも見られます。滑りやすいフローリングは負担が大きいため、マットを敷くなどして足腰に配慮した環境づくりが望まれます。
皮膚トラブルにも注意
被毛が密なため皮膚が蒸れやすく、皮膚炎も起こりやすい傾向があります。定期的なブラッシングと通気性の確保を意識することで予防につながります。皮膚が赤い、かゆがるなどの症状があれば早めの診察が必要です。
まとめ
ペキニーズは誇り高さと優雅さを兼ね備えた魅力的な犬種です。その歴史的背景から、マイペースで落ち着いた気質を持ち、飼い主とは控えめながら深い絆を築いてくれます。暑さや被毛ケア、呼吸器の健康管理に気を配ることで、家庭の一員として穏やかな時間を共に過ごすことができます。静かな生活を好む家庭にとって、ペキニーズは大切なパートナーになってくれる犬種です。



