珍しい犬種シャーペイ。しわの奥に隠れた魅力と性格、飼い方、気をつけたい病気について

珍しい犬種シャーペイ。しわの奥に隠れた魅力と性格、飼い方、気をつけたい病気について 犬種
この記事は約4分で読めます。

中国生まれの古代犬、シャーペイの歴史

シャーペイは、中国広東省を原産とする非常に古い犬種で、紀元前の時代から存在していたと考えられています。その特徴的なしわや青黒い舌から、同じく中国原産のチャウチャウとの共通点も見られ、古代の犬種との関係が深いことがうかがえます。かつては農村地帯で番犬や猟犬、さらには闘犬としても飼われており、その皮膚のたるみは敵の攻撃から身を守るための工夫でもありました。

しかし、20世紀に入り中国本土での個体数が急減し、絶滅の危機に瀕することとなります。1970年代には「世界で最も希少な犬」としてギネスブックに登録されました。その後、アメリカや香港の愛犬家によって繁殖が行われ、現在のような家庭犬向けのシャーペイが確立されていきました。

シャーペイの性格は控えめで自立心が強い

シャーペイの性格を一言で表すと「誇り高くて自立心が強い犬」です。一般的に、甘えん坊で誰にでも懐くタイプではありませんが、信頼した飼い主には深い忠誠を見せてくれます。感情表現はやや控えめで、じっと見つめてきたり、そっと寄り添ってくるようなさりげない愛情表現をしてくれるのがシャーペイの特徴です。

知らない人や犬に対しては警戒心が強く、必要以上に接触を求められるのを嫌がることがあります。そのため、子犬のうちからさまざまな音や環境、人と接する経験を重ねておくと、大人になってからの社会性を育てやすくなります。

また、頑固な一面もあり、納得のいかない命令には従おうとしないこともあります。強い指示ではなく、信頼関係の中で「納得してもらう」しつけが必要です。頭が良く、物覚えも早いため、しっかりと向き合えばとても良きパートナーとなってくれる犬種です。

シャーペイとの暮らしで大切なこと

シャーペイは、比較的静かな生活を好む傾向があります。人や音の出入りが激しい環境よりも、穏やかな空間のほうが落ち着いて過ごせるでしょう。集合住宅での飼育にも向いていますが、十分なプライベートスペースと安心できる場所を整えてあげることが大切です。

運動量は中程度で、1日2回の散歩を無理のないペースで行えば満足してくれます。ドッグランなどでほかの犬と遊ばせるよりも、飼い主とのふたりきりの時間を大切にするタイプです。ただし、暑さには非常に弱いため、夏場はエアコンで室温をしっかり管理し、水分補給をこまめに行うようにしましょう。

特に注意したいのが「しわのお手入れ」です。シャーペイの最大の特徴であるしわには、汗や汚れ、菌が溜まりやすく、放置すると皮膚病の原因になってしまいます。日常的に湿らせたタオルなどで優しく拭き取り、清潔を保つケアが欠かせません。シャンプー後はしっかりと乾かすことも重要です。

シャーペイに多い病気とその予防について

シャーペイは見た目のユニークさとは裏腹に、遺伝的な疾患が多い犬種でもあります。特に注意したいのが「シャーペイ熱(Shar-Pei Fever)」と呼ばれる自己炎症性疾患で、原因不明の高熱や関節の腫れを繰り返す病気です。放置すると腎臓疾患「アミロイドーシス」に進行し、命にかかわる可能性もあります。

そのほか、シャーペイには「眼瞼内反症」が多く見られます。これはまぶたが内側に巻き込まれ、まつげが目に当たってしまう状態で、慢性的な痛みや角膜の傷を引き起こします。子犬のうちに見つければ手術での治療も可能ですので、目の様子には日ごろから気を配るようにしましょう。

皮膚疾患も見逃せません。特に脂漏症やアトピー、マラセチア感染など、皮脂や湿気に関係したトラブルが多く、しわのケアを怠ることで悪化する恐れがあります。食事も皮膚トラブルを左右する要素であるため、アレルゲンの少ないフードやオメガ3脂肪酸を含む食材を取り入れるとよいでしょう。

シャーペイはどんな飼い主に向いている犬種?

シャーペイは、愛犬との間に静かで落ち着いた関係を築きたい方に向いている犬種です。自立心が強く、自分のペースを大切にするシャーペイにとって、必要以上に構われないことが安心感につながります。そのため、べったりとした関係を望む方よりも、控えめな愛情をしっかり受け止められる飼い主さんが適しています。

また、健康管理や日々のケアに手間を惜しまない姿勢も求められます。シャーペイは手のかかる面もありますが、それを補って余りあるほどの深い信頼と絆を築ける犬種です。初対面ではクールでも、一度心を許せば、飼い主にだけ見せる優しい表情や仕草がとても魅力的です。

シャーペイとの生活には丁寧な理解と時間が必要

シャーペイと暮らすということは、その個性的な性格や体質を受け入れ、細やかなケアを惜しまない覚悟が必要です。しかし、それは決して苦痛ではなく、シャーペイと心が通じ合ったときの喜びは何ものにも代えがたいものです。

しわの奥に隠れた心の柔らかさ、自立しながらもそっと寄り添ってくる優しさ――シャーペイは、表面的な可愛さだけでなく、深い魅力を持つ犬種です。あなたがその静かな声に耳を傾ける準備ができたなら、きっとシャーペイも、ゆっくりと心を開いてくれることでしょう。

タイトルとURLをコピーしました